VOICE INPUT LAB

ロカオン研究室

音声入力アプリの比較・検証・使い方を、実測ベースで。

VoiceInkとは。買い切り29ドルの中身と、無料で使える道を公式の記載で確かめた

比較・料金

先に結論を3行で。

  • VoiceInk(ボイスインク)は、Mac 向けの買い切りの音声入力アプリです。2026年8月26日時点の公式料金ページで1台29ドル・2台49ドル・3台69ドル、いずれも一度払えば使い続けられる形です。月々の支払いはありません。この分野では珍しい売り方で、素直に強みです。
  • じつは、お金を払わずに使う道が公式に用意されています。公式の利用規約が「二重ライセンス(dual-licensing model)」と明記していて、ソースコードは GNU GPL v3.0 で公開されています。規約は「ソースからコンパイルして動かせる」と書いています。買うと付いてくるのは組み立て済みのアプリ・自動更新・サポートです。
  • 「ローカル」の意味は、既定でローカル、という意味です。利用者が自分で用意した鍵を入れれば、外部のクラウドサービスへ音声や文字を送れる作りになっています(公式の説明書に14社が並んでいます)。買った時点で外に出ない、ではなく、設定しだいで外に出せる作りです。ここは検討時に読み分けたほうがいい箇所です。

この記事は、VoiceInk を検討している方が最初に知りたい料金・動作条件・ソースコードの扱い・音声の行き先を、公式ページと公式の利用規約の記載だけで整理したものです。確認日:2026年8月26日。

この記事は、ローカルで完結する音声入力アプリ「ロカオン」を開発する合同会社ヒバナが書いています。当社は VoiceInk と同じ分野の製品を作っている立場です。当社は VoiceInk を購入・インストールして測っていません。ですので、動作の速さや日本語の精度について当社が断定することはしません。書けるのは、公式の記載を読んで確かめたことと、当社製品で測った数字だけです。当社製品の話が出てくる箇所には、その都度「当社製品」と明記します。

  1. VoiceInkとは何か
    1. 作っているのは会社ではなく、個人です
    2. 動作条件は、当社製品より広いです
  2. 料金は3段階。台数で分かれています
    1. この金額は、割引中の金額かもしれません
    2. 当社製品と並べると、どちらが安いか
  3. ソースコードが公開されているので、無料で使う道があります
    1. この点に触れた日本語記事が、上位に1本もありませんでした
    2. とはいえ、誰にでもすすめられる方法ではありません
  4. 「ローカル」の意味を、公式の記載で読み分ける
    1. つなげる先の数が、公式の中で食い違っています
    2. 職場で使うときは「選べる」ことが論点になります
    3. 使える認識エンジンは、選べます
  5. 返金の条件が、公式の2か所で食い違っています
    1. 無料で試せる日数は、公式には書かれていませんでした
  6. iPhone 版があります(当社にはありません)
  7. 検索すると、別の会社の同名アプリが混ざります
  8. 当社の実測:辞書があること自体は、決め手になりません
    1. ① 辞書を入れると 47.2% → 75.0%
    2. ② ただし、辞書は短いほうが効きました
    3. ③ どうやっても直らない語があります
    4. ④ 同じ辞書でも、喋る人が変わると結果が変わります
  9. どちらが向いているか
  10. よくある質問
    1. VoiceInk は本当に買い切りですか
    2. 無料で使えますか
    3. オフラインで使えますか
    4. 日本語の精度はどうですか
    5. アプリの画面は日本語ですか
    6. Windows でも使えますか
    7. Android 版はありますか
  11. 出典と確認日

VoiceInkとは何か

VoiceInk は、キーボードの代わりに話して文字を入れるための Mac 用アプリです。メール・チャット・資料など、文字が打てる場所ならどこでも、話した内容がそのまま入ります。

いわゆる「文字起こし」とは目的が違います。録音したファイルをあとから文字にするのが文字起こしで、いま喋っている声をその場でカーソル位置に入れるのが音声入力です。この違いはWhisperで文字起こしをする方法で詳しく書きました。

作っているのは会社ではなく、個人です

公式サイトのフッターには「Made with ♥ by Pax」とあり、GitHub の公開ページにはPrakash Joshi Pax という氏名が出ています。法人ではなく個人の開発者が、ソースコードを公開しながら作っているアプリです。

これは良し悪しの話ではありません。作りが速く、要望が通りやすいという利点がある一方で、会社と契約を結ぶ形の調達には向かない場面もあります。職場で導入する場合は、この点を先に確かめておくほうが早いです。

動作条件は、当社製品より広いです

公式料金ページの下部に「Apple Silicon の Mac のみで動作します・macOS 14.4 以降が必要です」と明記されています。FAQ には「メモリは8GB以上を推奨」ともあります。

VoiceInk 当社製品ロカオン
Mac の種類 Apple Silicon のみ Apple Silicon のみ
macOS の版 14.4 以降 26 以降
Windows なし なし
iPhone あり(後述) 開発中

ここは、はっきり VoiceInk のほうが広く使えます。当社製品ロカオンは macOS 26 以降にしか対応しておらず、数年前の Mac をお使いの方は、そもそも当社製品を選べません。Windows 版がないのは両方に共通です。

料金は3段階。台数で分かれています

2026年8月26日時点の公式料金ページの記載です。円換算は1ドル=159円で計算し、およその金額で表記しています(レートの根拠は日本銀行が公表した2026年8月14日の相場)。為替が動けば支払額も動きます。

プラン 料金 使える台数 共通の条件
Solo 29ドル(約4,611円) Mac 1台 一度きりの支払い/更新は生涯(Lifetime of updates)/14日間の返金保証
Personal 49ドル(約7,791円) Mac 2台まで
Extended 69ドル(約10,971円) Mac 3台まで

料金ページの見出しは「Buy once. Own forever.(一度買えば、ずっと自分のもの)」で、「定期購読はありません。繰り返しの請求もありません」と書かれています。

この金額は、割引中の金額かもしれません

ここは注意して読んでください。公式サイトの上部メニューには、料金の項目のとなりに「50% Off」という表示が出ています(2026年8月26日に当社が確認)。何に対しての50%引きなのかは書かれていませんので、いま出ている29ドル・49ドル・69ドルが通常価格なのか割引価格なのかまでは、当社には分かりませんでした。分かるのは「割引が案内されている」ということだけです。

さらに、当社が同日に見つけた第三者のまとめページには「Solo 25ドル/Personal 39ドル/Extended 49ドル」という、公式とは違う金額が載っていました。どちらが古いのかは、当社には判断できません。

言えるのは「この製品の価格は動いている」ということです。お申し込みの前に、必ず公式の料金ページでその日の金額をご確認ください。日本語の紹介記事に「3,000円」「4千円」といった金額が書かれていることがありますが、書かれた時点のドル建て価格と、その時点の為替で計算された数字です。

当社製品と並べると、どちらが安いか

正直に並べます。使う期間が1年を超えるなら、買い切りのほうが安くなります。

使う期間 VoiceInk Solo(29ドル=約4,611円) 当社製品ロカオン(年払い6,600円・税込)
1年 約4,611円 6,600円
3年 約4,611円 19,800円
5年 約4,611円 33,000円

費用だけを見るなら、長く使うほど VoiceInk が有利です。これは当社にとって不利な事実ですが、隠しても意味がないので書いておきます。他社の料金はAqua Voiceの料金・superwhisperの料金と日本語対応・Wispr Flowの料金にまとめています。

ソースコードが公開されているので、無料で使う道があります

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

VoiceInk のソースコードは GitHub で公開されていて、GNU GPL v3.0 というライセンスが付いています。そして公式の利用規約が、この扱いをはっきり書いています。規約の第2条は「VoiceInk は二重ライセンスの形で提供されます」という一文から始まり、次のように分けています。

公開されているソースコード
(GNU GPL v3.0)
配布されている組み立て済みアプリ
(商用ライセンス)
できること ソースを読む・書き換える/自分で組み立てて動かす/改変版を配る(GPL v3.0 のままで) すぐ使える/自動更新/技術サポート
お金 かかりません 29〜69ドル
制限 GPL v3.0 の条件に従う 組み立て済みアプリの再配布は不可/購入した台数を超えて使うのは不可

GitHub 側にも「ソースからビルドすれば全機能が使えます。ただしコンパイル済みの版には、自動更新、Discord とメールでの優先サポートといった利点があり、開発の資金にもなります」という趣旨の記載があります。つまり、機能を絞った無料版という話ではなく、手間を自分で引き受けるかどうかの違いです。

この点に触れた日本語記事が、上位に1本もありませんでした

当社は2026年8月26日に「voiceink」で検索した結果の上位20件を取得し、各ページの見出しをすべて機械的に数えました。そのうち日本語で書かれた解説記事は9件(note が4件、技術系の投稿サイトが2件、個人ブログが3件)。

この9件のうち、見出しに「オープンソース」または「GPL」の語を掲げたものは0件でした。1位の記事に「ライセンス」という見出しがありますが、これは購入したときに発行されるライセンスキーの話で、ソースコードのライセンスの話ではありません。

いっぽう「買い切り」を記事タイトルに掲げたものは6件ありました。「安い」ことは広く紹介されているのに、「そもそもソースが公開されている」ことは日本語ではほとんど紹介されていないという状態です。

数え方の中身も書いておきます。上位20件のうち、この9件のほかに、公式の4ページ(サイト本体・料金ページ・GitHub・App Store)、動画・掲示板・SNS が3件、音声配信の書き起こしが1件、別の開発元の同名アプリが1件、競合他社が自社製品と比べるために出している日本語の比較ページが2件ありました。この2件のうち1件は、見出しでソースの公開に触れています。ただしそれは他社が自社を売るために書いた比較ページなので、「解説記事」の数からは外して数えました。また当社が数えたのは見出しとタイトルの字面だけで、9件すべての本文を読んで確かめたわけではありません。本文の中で触れている記事はあるかもしれません。

とはいえ、誰にでもすすめられる方法ではありません

正直に書きます。GitHub には組み立ての手順書が置かれていますが、当社は実際に組み立てて試していません。ですので「かんたんです」とも「難しいです」とも言えません。言えるのは、プログラムを扱わない方には、素直に有料版を買うほうが早いだろうということだけです。

なお、組み立て済みのアプリを入れる方法としては、公式サイトからのダウンロードのほかにHomebrew(ホームブリュー)という Mac 用の導入ツールにも登録されています。こちらは有料版・無料版の区別ではなく、単なる入れ方の違いです。

ただし「無料で使う道が公式に用意されている」ことを知っているかどうかは、判断に効きます。とくに、社内に開発の担当者がいる職場や、外部のサービスに費用を払う手続きが重い組織では、この道が現実的な選択肢になります。

「ローカル」の意味を、公式の記載で読み分ける

VoiceInk は「ローカルで動く」と紹介されることが多いアプリです。これは正しいのですが、正確には「既定でローカル」です。

公式のプライバシー説明ページには「既定では、文字起こしの処理はすべてお使いの端末の中で行われます」とあります。そのうえで利用規約の第3条は、次のように書いています。

  • クラウドでの文字起こし……利用者が選んだ提供元に音声データが送られます。その提供元の規約とプライバシーポリシーを確認する責任は利用者にあります
  • AIによる整形……文字だけ(音声は含まない)が、選んだ提供元へ送られます
  • 接続用の鍵(APIキー)は、利用者が自分で用意します

つまりクラウドを使うかどうかは、買った人が決める設計です。何もしなければ端末の中だけで動き、鍵を入れれば外に出せます。これは欠点ではなく、選べるようにしてあるということです。

つなげる先の数が、公式の中で食い違っています

ここも、読んだままを書きます。接続できる提供元の数が、公式の2か所で違いました。

どこに 何社 顔ぶれ
公式 利用規約(最終更新 2026年4月20日) 11社 Groq、OpenAI、Anthropic、Gemini、Mistral、Deepgram、ElevenLabs、Speechmatics、Soniox、Cerebras、OpenRouter
公式 説明書「Cloud Providers」 14社 上の11社に加えて AssemblyAI、xAI、Cartesia

規約のほうは「含まれる(include)」という書き方なので、網羅ではなく例示だと読めます。実際に増えているものと考えるのが自然ですが、いずれにせよ公式の記載だけでも「つなげる先は増えていく」ことは分かります。

説明書のほうには、どの提供元が文字起こしに使えて、どれが整形に使えるかの一覧表もあります。たとえば Deepgram・ElevenLabs・Soniox・Speechmatics・AssemblyAI・xAI・Cartesia は文字起こし側、OpenAI・Anthropic・Cerebras・OpenRouter は整形側と書かれています(Groq・Gemini・Mistral は両方)。

職場で使うときは「選べる」ことが論点になります

「外に出せない情報を扱うので、ローカルで完結するものを探している」という理由でお探しの場合、設定しだいで外に出せる作りであること自体が、確認事項になります。誰かが鍵を入れれば、その端末からは外へ送られるからです。

逆に「ふだんはローカルで軽く使い、大事な原稿のときだけ高性能なクラウドに投げたい」という使い方をしたい方には、この作りはそのまま利点になります。

当社製品ロカオンはクラウドに送る設定そのものを持っていません(AIによる文章の整形機能も作っていません)。選べないぶん確認が要らないという考え方で、逆に言えば柔軟さでは VoiceInk に劣ります。どちらが良いかではなく、何を優先するかの違いです。「ローカル」という言葉が製品ごとに何を指しているかは文字起こしの「ローカル」とは何を指すのかに整理しました。

使える認識エンジンは、選べます

公式の説明書には、端末の中で動かせるものとして次が挙げられています。

  • Parakeet(V3 は多言語・V2 は英語のみ)
  • Apple Speech……macOS 26 以降で使える、Mac に元から入っている仕組み
  • Whisper……Tiny/Base/Large v2/Large v3/Large v3 Turbo/Large v3 Turbo(量子化版)
  • whisper.cpp 形式の .bin ファイルを自分で読み込ませることもできます

Whisper のモデルをどう選ぶかはWhisperのモデルはどれを選べばよいかに書きました。当社製品ロカオンも Large v3 Turbo の量子化版を使っていますので、この点では中身が近いと言えます。

返金の条件が、公式の2か所で食い違っています

これも読んだままを書きます。同じ公式サイトなのに、返金の条件の書き方が違いました。

どこに どう書いてあるか
公式 料金ページ 「14日間の返金保証、理由は問いません(no questions asked)」
公式 利用規約 第7条 返金には「正当な理由を示すこと」と「すべての端末からアンインストールすること」が必要、と条件が3つ並んでいます

どちらが優先されるのかは、当社には判断できません。返金の可能性を前提に購入を考えている場合は、購入前に開発者へ直接確認されるのが確実です。規約によれば、承認された返金は5〜7営業日で元の支払い方法へ戻されます。

無料で試せる日数は、公式には書かれていませんでした

公式サイトには「無料版をダウンロード」というボタンがあります。しかし当社が読んだ公式ページ(料金ページ・FAQ・利用規約・説明書)には、試用できる日数の記載が見当たりませんでした(2026年8月26日確認)。

唯一、公式サイトの中で日数に触れているのは、利用者の声を集めたページに載っている、利用者本人の投稿でした。そこに「7日間の試用のあとに一度だけ払う形は、良い体験だ」という趣旨の英文があります。これは利用者の言葉であって、公式の説明ではありません。7日間だと期待して始めると、違ったときに困ります。実際の日数はアプリを入れたときの表示でご確認ください。

参考までに、当社製品ロカオンは最初の10日間は回数の制限なし、そのあとも1日10回まで(1回1分まで)は無料で、クレジットカードの登録は不要です。

iPhone 版があります(当社にはありません)

公式サイトには iOS 向けのページがあり、「macOS で使っているのと同じ精度の音声入力を、iPhone と iPad でも」と書かれています。そして「ベータ期間中は無料。そのあとは買い切りになります」と明記されています。

App Store には「VoiceInk: AI Dictation」という同名のアプリが無料で出ており、提供元は「Prakash Joshi」です。GitHub の公開プロフィールに出ている氏名と一致するので、これが公式サイトの言う iOS 版だと考えられます(当社はダウンロードして確かめてはいません)。対応は iPhone が iOS 17.0 以降、iPad が iPadOS 17.0 以降、Mac が macOS 14.0 以降(M1 以降)、Apple Vision が visionOS 1.0 以降と書かれています。

当社製品ロカオンの iPhone 版は開発中で、まだ提供していません。iPhone で使いたい方にとっては、この時点で当社は選択肢に入りません。ここは VoiceInk のほうが先を行っています。

なお iPhone の音声入力アプリには、iOS の作りに由来する制約が別にあります。そちらはiPhoneの音声入力アプリで「キーボードのマイク」が使えない理由にまとめました。

検索すると、別の会社の同名アプリが混ざります

これは実務で困る話なので、独立して書きます。

当社が「voiceink」で取得した検索結果の上位20件のうち、14位に Google Play(Android向け)の「VoiceInk AI:Voice to Text」というアプリが入っていました。これは、ここまで説明してきた VoiceInk とは別の製品です。

この記事で扱っている VoiceInk Google Play の同名アプリ
提供元 Prakash Joshi(Pax) Fantastic Byte
対応 Mac・iPhone・iPad Android
公式サイト tryvoiceink.com (別)
料金 買い切り29ドル〜(iOS版はベータ中無料) 無料。広告表示あり・アプリ内購入ありと記載
中身 話した言葉をその場で入力欄へ入れる 録ったものを要約・分類してメモとして貯める

名前が同じで、やることが違います。「VoiceInk は Android でも使える」と書かれた記事を見かけたら、どちらの話なのかを確かめてください。公式サイト tryvoiceink.com が案内しているのは Mac 版と iOS 版だけです。

当社の実測:辞書があること自体は、決め手になりません

ここからは、当社が測った数字の話です。VoiceInk で測ったものではありませんので、そのつもりで読んでください。

VoiceInk には、専門用語や人名を覚えさせる仕組み(公式の説明書では Dictionary・Word Replacements・Vocabulary)があります。当社製品ロカオンにも「じぶん辞書」があります。日本語で音声入力を使うなら、この機能は要ります。ここまでは、どの製品の紹介記事にも書いてあります。

問題は、その先です。当社は2026年8月23日に、当社製品の認識エンジンで辞書の効き目を測りました。台本8文・採点する語18語・Mac の読み上げ音声2種(Kyoko と Otoya)で、辞書を空にして1周、登録して1周です。分かったのは次の4つでした。

① 辞書を入れると 47.2% → 75.0%

採点語の正解 正解率 認識にかかった合計
辞書なし 17/36 47.2% 9.0秒
辞書あり(18語・68字) 27/36 75.0% 8.6秒

27.8ポイントの改善で、速さはほぼ変わりませんでした。「ヒバナ」が「火花」に、「神林」が「上林」に、「仕訳」が「仕分け」になっていたものが、登録すると通るようになります。辞書は効きます。

② ただし、辞書は短いほうが効きました

同じ語を入れているのに、辞書が長いと効かないという結果が出ました。

辞書 「与信枠」 「決裁」
入れない ✗ 予診枠 ✗ 決済/記載
18語・68字(全部入り) ✗ 予信枠 △ 声によって割れる
4語だけに絞る ○ 与信枠 ○ 決裁

68字でも「入れすぎ」でした。思いつく語を片端から登録すると、かえって当たらなくなります。「登録する語は多いほどよい」ではありません。

③ どうやっても直らない語があります

「稟議書」は4通り試して、全部だめでした(倫義書/倫理書/倫議書)。辞書なし、68字の辞書、4語に絞った辞書、語ではなく文脈で入れる方法。どれも通りませんでした。

辞書は万能ではありません。「辞書があるから大丈夫」と書いてある紹介記事は、この部分を測っていないだけかもしれません。

④ 同じ辞書でも、喋る人が変わると結果が変わります

声 「実測」辞書なし 「実測」辞書あり
Kyoko ○ 実測 ○ 実測
Otoya ✗ 時速 ✗ 時速(辞書に入れても直らない)

「渡邊」でも同じ向きに割れました。同じアプリ・同じ辞書・同じ台本でも、喋る人が変わると結果が変わります。

だから、この分野の製品は「評判」では決まりません。無料で試せる期間があるうちに、ご自分の Mac で、ご自分の声で、ご自分の仕事で出てくる言葉を喋ってみるのがいちばん確実です。VoiceInk にも試用版があり、当社製品ロカオンにもお試し期間(最初の10日間・回数の制限なし)と無料版があります。両方試して、通ったほうを選んでいただくのがフェアだと思っています。

この測定の限界も書いておきます。声は人間ではなく Mac の読み上げ音声です。合成音声は発音がきれいすぎるので、人が喋ったときの数字とは変わります。採点は指定した18語が字面どおり出たかどうかだけで、助詞のゆれや句読点は数えていません。そして繰り返しますが、VoiceInk では測っていません。

精度そのものの考え方は音声入力の精度を上げる5つの手に、製品の選び方は音声入力アプリの選び方にまとめています。

どちらが向いているか

VoiceInk が向いている方

  • 月々の支払いをしたくない(1年より長く使うなら、費用は買い切りのほうが安くなります)
  • 数年前の Mac を使っている(macOS 14.4 以降で動きます。当社製品は26以降のみです)
  • iPhone や iPad でも使いたい(当社製品は開発中です)
  • ふだんはローカル、必要なときだけクラウドの高性能なサービスに投げたい
  • ソースコードが公開されていること自体を重視する。あるいは自分で組み立てて無料で使える技能がある
  • 英語のメニューで困らない

当社製品ロカオンのような作りが向いている方

  • クラウドに送る設定が、そもそも無いほうがいい(士業・医療・自治体など、外に出せない情報を扱う)
  • アプリの画面・設定・説明がすべて日本語であってほしい
  • 日本の会社に日本語で問い合わせたい
  • 台数を気にせず使いたい(当社製品はご本人がお使いになる端末なら台数の制限がありません)

逆に、当社製品を選べない方もはっきり書きます。Windows をお使いの方、macOS 25 以前の Mac をお使いの方、iPhone で使いたい方は、現時点で当社製品は選択肢に入りません。

よくある質問

VoiceInk は本当に買い切りですか

公式料金ページに「一度きりの購入」「更新は生涯」「定期購読はありません」と明記されています。ただし利用規約の第2条には「ライセンス期間中にリリースされたどのバージョンも保持して使う権利」という表現があり、第6条には「規約に従わなかった場合、権利は通知なく自動的に終了します」という一般的な条項もあります。ふつうに使う限りは買い切りと読んで差し支えありませんが、条文の言い回しは購入前にご自身でお読みください。

無料で使えますか

2つの意味があります。試用版は公式サイトからダウンロードできますが、当社が読んだ公式ページに日数の記載が見当たりませんでした。もう1つはソースコードから自分で組み立てる方法で、こちらは公式の利用規約が GNU GPL v3.0 として認めており、費用はかかりません。ただし自動更新とサポートは付きません。

オフラインで使えますか

公式は「既定では処理はすべて端末の中で行われる」と書いており、端末の中で動く認識エンジンも複数用意されています。ただし当社は実機で確認していません(当社は VoiceInk を導入していません)。公式の記載からそう読める、という書き方に留めます。オフラインで使えるかどうかの一般的な考え方は月額ソフトは何日オフラインだと止まるのかに書きました。

日本語の精度はどうですか

当社は測っていないので、断定しません。公式サイトも日本語の精度について具体的な数字は出していません。日本語で使えるかどうかは、ご自分の声とご自分の業務用語で試すのが唯一確実な方法です。上の「当社の実測」の④で書いたとおり、同じ辞書でも喋る人が変わると結果が変わります。

アプリの画面は日本語ですか

公式サイトと公式の説明書は、当社が見た範囲ではすべて英語でした(2026年8月26日確認)。アプリ本体の画面については、当社は導入していないため確認していません。

Windows でも使えますか

使えません。公式は Apple Silicon の Mac と、iPhone・iPad 向けの版のみを案内しています。なお当社製品ロカオンにも Windows 版はありません。Windows をお使いなら、どちらも選択肢に入りません。

Android 版はありますか

公式サイトが案内しているのは Mac 版と iOS 版だけです。Google Play にある同名のアプリはFantastic Byte という別の提供元による、別の製品です。

出典と確認日

この記事の記載は、すべて2026年8月26日に当社が公式ページを読んで確認したものです。料金・機能・対応環境は変わります。お申し込みの前に、必ず公式の最新の記載をご確認ください。

  • 料金3段階(29/49/69ドル)・台数・「Lifetime of updates」・「Buy once. Own forever.」・「14-day money-back guarantee, no questions asked」・動作条件(Apple Silicon/macOS 14.4以降)・上部メニューの「50% Off」表示……VoiceInk 公式 料金ページ(2026年8月26日確認)
  • 二重ライセンスの明記・GNU GPL v3.0 でできること・商用ライセンスの内容と制限・クラウド提供元11社の一覧・APIキーは利用者が用意すること・返金には「正当な理由」が必要という条件・「ライセンス期間中にリリースされたバージョン」の表現……VoiceInk 公式 利用規約(最終更新2026年4月20日・2026年8月26日確認)
  • クラウド提供元14社の一覧と、文字起こし用・整形用の区別・APIキーの貼り付け手順……VoiceInk 公式 説明書「Cloud Providers」(2026年8月26日確認)
  • ソースコードと GNU General Public License v3.0・ソースからのビルド・「macOS 14.4 以降」……GitHub の公開ページ(2026年8月26日確認)
  • Homebrew の cask として登録されていること……Homebrew の公開一覧(2026年8月26日確認)
  • 「既定では、文字起こしの処理はすべて端末の中で行われます」……VoiceInk 公式 プライバシーの説明ページ(2026年8月26日確認)
  • 端末の中で動く認識エンジンの一覧(Parakeet/Apple Speech/Whisper各種/.bin の読み込み)……VoiceInk 公式 説明書「Local Models」(2026年8月26日確認)
  • メモリ8GB推奨・学割の問い合わせ受付・購入後にライセンスキーが届くこと……VoiceInk 公式 FAQ(2026年8月26日確認)
  • iOS版「ベータ期間中は無料。そのあとは買い切り」……VoiceInk 公式 iOS ページ(2026年8月26日確認)
  • 「7日間の試用」が公式の説明ではなく利用者の投稿として載っていること……VoiceInk 公式 利用者の声のページ(2026年8月26日確認)
  • App Store の提供元「Prakash Joshi」・価格・対応OS……App Store のページ(2026年8月26日確認)
  • 開発者名「Prakash Joshi Pax」……GitHub の公開プロフィール(2026年8月26日確認)
  • Google Play の同名アプリ(提供元 Fantastic Byte・広告表示あり・アプリ内購入あり)……Google Play のページ(2026年8月26日確認)
  • 公式と違う金額(25/39/49ドル)を載せていた第三者のまとめページ……Voibe Resources(2026年8月26日確認)
  • 円換算のレート……日本銀行が公表した2026年8月14日の相場(17時時点で159.21〜159.22円)にもとづき1ドル=159円で計算
  • 当社の実測(辞書の効き方・辞書の長さ・稟議書・声による差)……合同会社ヒバナが2026年8月23日に実施。台本8文・採点語18語・Mac の読み上げ音声2種(Kyoko/Otoya)・当社製品の認識エンジン(ggml-large-v3-turbo-q5_0)での測定。VoiceInk は測定していません
  • 上位20件の集計(日本語の解説記事9件・見出しに「オープンソース」「GPL」を掲げたもの0件・タイトルに「買い切り」を掲げたもの6件)……2026年8月26日に「voiceink」で取得した検索結果の上位20件を当社が集計。検索結果は時点・地域・利用者ごとに変わります
  • 当社製品の料金・動作条件・無料版……ロカオン公式ページ(2026年9月27日時点)

この記事を書いているのは合同会社ヒバナです。Mac 向けの音声入力アプリロカオンを開発しています(Windows 版はありません。iPhone 版は開発中です)。VoiceInk とは競合する立場にあるため、当社が実機で確かめていないことは断定せず、公式の記載として書いています。事実の誤りを見つけられた場合は、お問い合わせフォームからご指摘いただけると助かります。

神林瑛治の似顔絵

この記事を書いた人

神林 瑛治 かんばやし えいじ

合同会社ヒバナ 代表/ローカルで完結する音声入力アプリ「ロカオン」開発者

自分で音声入力アプリを開発しながら、このラボで各社の製品を同じ物差しで実測しています。ふだんの業務も毎日音声入力で回しています。

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